ナフサと塗料
なぜ今、塗料・シンナー・シーリング材が不足しているのか
最近、塗装業界や建築業界では、材料の供給不安が大きな問題になっています。
特に現場で影響が出ているのが、
・シンナー・弱溶剤系塗料・錆止め塗料・シーリング材、コーキング材・防水材、接着剤などの石油化学系材料
です。
「現場はあるのに、材料が入らない」「工事を進めたいのに、必要な副資材がそろわない」「見積り時より材料価格が上がってしまう」
こうした声が、実際の塗装現場でも聞かれるようになっています。
この背景にあるキーワードの一つが、ナフサです。
ナフサとは何か
ナフサとは、原油を精製して作られる石油製品の一つです。
ガソリンに似た透明な液体で、石油化学製品を作るための重要な原料として使われています。ナフサからは、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの基礎化学品が作られ、それらがさらにプラスチック、合成ゴム、合成繊維、洗剤、塗料などの原料になっていきます。https://www.paj.gr.jp/statis/faq/74?utm_source=chatgpt.com
つまり、ナフサは目に見える製品ではありませんが、現代の暮らしや建築資材を支える「川上の原料」です。
塗料、シンナー、シーリング材、防水材、接着剤、樹脂製品など、建築現場で使われる多くの材料は、石油化学製品と深く関わっています。

なぜナフサと塗料が関係しているのか
塗料は、単に色のついた液体ではありません。
塗料には、樹脂、顔料、添加剤、溶剤など、さまざまな原料が使われています。
その中でも、塗膜をつくる樹脂や、塗料を使いやすい状態にする溶剤、またシンナーなどは、石油化学由来の原料と関係しています。
ナフサから作られるトルエンやキシレンなどは、塗料や溶剤の分野とも関係が深く、塗料業界にとってナフサの供給不安は決して他人事ではありません。経済産業省の資料でも、ナフサからエチレン等の基礎化学品を経て、溶剤、プラスチック、ゴム、塗料などにつながる石油化学の流れが示されています。https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/material_industry/pdf/260326.pdf?utm_source=chatgpt.com
簡単に言えば、
原油 → ナフサ → 基礎化学品 → 樹脂・溶剤・添加剤 → 塗料・シンナー・シーリング材
という流れです。
だから、ナフサが不足したり価格が上がったりすると、塗料や副資材にも影響が出やすくなります。
今、塗装業界で起きていること
現在、塗装業界で特に問題になっているのが、シンナーの供給不安です。
2026年4月には、日本塗装工業会が国土交通省へ、シンナーの深刻な供給不足に関する緊急要望を提出したことが、経済産業省の会見でも取り上げられています。会見では、資材流通が停滞すると塗装工事が全国的に止まる可能性があるとの指摘も紹介されています。赤澤経済産業大臣の閣議後記者会見の概要 (METI/経済産業省)
また、報道では、塗料の納入が通常1日程度だったものが半月待ちになっている例や、現場で在庫切れが起きている状況も紹介されています。「5月を乗り切れるか」 シンナー不足で塗装業者は悲鳴 政府は「目詰まり」 現場は「在庫切れ」 深刻ナフサショック【大石邦彦解説】 | TBS NEWS DIG
特に、錆止め用塗料や弱溶剤系の材料は、溶剤や樹脂の影響を受けやすい分野です。
錆止め塗料は、鉄部や金属部分を守るために重要な塗料です。外壁塗装だけでなく、鉄骨、階段、手すり、シャッター、屋根部材などにも関係します。
そのため、錆止め塗料やシンナーが不足すると、単に「色を塗れない」という話ではなく、建物を守るために必要な下地処理や防錆工程が進められないという問題につながります。

シーリング材・コーキング材にも影響が出ている
もう一つ、外壁塗装の現場で大きな影響が出やすいのが、シーリング材です。
シーリング材、いわゆるコーキング材は、外壁の目地やサッシまわりの隙間を埋め、雨水の侵入を防ぐ重要な材料です。
外壁塗装では、塗る前に古いシーリングを撤去し、新しいシーリング材を充填する工程が必要になることがあります。
しかし、シーリング材も石油化学製品と関係が深く、変成シリコーン系やポリウレタン系など、多くの建築用シーリング材は原油・ナフサ由来の化学品とつながっています。報道でも、外壁の隙間を埋めるコーキング剤が入ってこない現場や、仕入れ価格が大きく上がっている例が紹介されています。中東情勢悪化…来月完成予定の新築住宅の建設現場で「コーキング剤が入ってこない」 ユニットバス等“ナフサショック”影響続々 | TBS NEWS DIG (2ページ)
特に、耐候性の高いシーリング材は、長く建物を守るために重要です。
その材料が不足すれば、塗装会社は現場を持っていても、すぐに工事を進められない場合があります。
塗料だけでなく、シーリング材、防水材、接着剤など、外装工事に欠かせない「見えにくい材料」が不足することで、現場全体の工程に影響が出ているのです。
中東情勢とナフサ不足
今回のナフサ不足や供給不安の背景には、中東情勢の不安定化があります。
日本はナフサの調達において、中東からの輸入に一定程度依存しています。経済産業省の資料では、2024年のナフサ調達元について、中東が44.6%、国産が39.4%、その他輸入が16.0%と示されています。260326.pdf
これは、ナフサが世界情勢や物流の影響を受けやすい原料であることを意味します。
ただし、ここで大切なのは「誰が悪い」という話ではありません。
重要なのは、すでに起きている国際情勢や物流の変化が、日本の塗装現場、建築現場、そしてお客様の工事計画にも影響を与えているということです。
塗料は、ただ国内だけで完結している製品ではありません。
原油、ナフサ、化学品、樹脂、溶剤、塗料、シーリング材という長いサプライチェーンの上に成り立っています。

今後は不足だけでなく、価格高騰にも注意が必要
現在の問題は、材料が不足することだけではありません。
ナフサや石油化学製品の供給が不安定になれば、塗料、シンナー、シーリング材、防水材などの価格にも影響が出る可能性があります。
すでに建築資材では、シーリング材や防水関連資材などに値上げや一部制限が出ているとする業界向け情報もあります。
つまり、これからの外壁塗装では、
・材料が入るかどうか・価格が維持できるかどうか・工期を予定通り組めるかどうか・代替材料で性能を確保できるかどうか
が、今まで以上に重要になります。
塗装会社にとっても、お客様にとっても、「早めの相談」「早めの仕様決定」「材料確保の確認」が大切になっていくと考えられます。
KFワールドセラ認定施工店が大切にすべき視点
このような時代に、塗装会社が改めて考えるべきことがあります。
それは、ただ材料を売る、ただ工事をするという発想から、建物を長く守る提案へ変わることです。
材料不足や価格高騰が起きると、どうしても目先の価格だけに意識が向きがちです。
しかし本当に大切なのは、
限られた資源を、どれだけ有効に使うか一度の工事で、どれだけ長く建物を守れるか将来の塗り替え回数を、どれだけ減らせるか
という視点です。
KFワールドセラ認定施工店が提案している価値は、単に高級塗料を使うことではありません。
長く建物を守ること。塗り替えサイクルを延ばすこと。結果として、将来の材料使用量、運搬、施工時のエネルギー、廃塗料、廃材、CO2排出の削減にもつなげていくこと。
これが、これからの時代に合った外壁塗装の考え方です。

「今ある材料を大切に使う」時代へ
ナフサと塗料は関係性が深く、ナフサ不足は、塗装業界にとって大きな課題です。
しかし同時に、私たちに大切な気づきも与えています。
それは、塗料やシンナー、シーリング材は、当たり前にあるものではないということです。
塗料は、原油、ナフサ、化学品、樹脂、溶剤、顔料、添加剤、製造、運搬という多くの工程を経て、ようやく現場に届きます。
だからこそ、これからの塗装業界には、
・無駄な材料を出さない・余剰塗料を減らす・必要以上に塗り替え回数を増やさない・長く持つ塗料を選ぶ・建物を長く守る施工を行う
という考え方がますます重要になります。
まとめ:ナフサ不足は、塗装の価値を見直すきっかけ
ナフサは、普段の生活ではあまり聞き慣れない言葉かもしれません。
しかし、塗料、シンナー、シーリング材、防水材など、塗装現場に欠かせない材料の多くは、ナフサを起点とする石油化学製品と深く関係しています。
現在のナフサ不足や供給不安は、単なる一時的な材料不足ではなく、世界情勢、資源、物流、建築、塗装現場がつながっていることを示しています。
これからの塗装は、安さだけで選ぶ時代ではありません。
どれだけ長く建物を守れるのか。どれだけ塗り替え回数を減らせるのか。どれだけ資源を大切にできるのか。どれだけ根拠を持って提案できるのか。
ナフサ不足の時代だからこそ、塗装の価値は「ただ塗ること」ではなく、建物を長く守り、資源を大切に使うことにあります。
KFワールドセラ認定施工店は、こうした時代の変化を受け止めながら、長寿命塗装と根拠ある提案によって、お客様の建物と未来を守る役割を担っていきます。
Naphtha and Paint: Why Paint, Thinner, and Sealant Supplies Are Becoming Unstable
In recent years, the painting and construction industries have been facing growing concerns over material shortages and rising prices. Products such as thinners, solvent-based paints, rust-preventive coatings, sealants, caulking materials, waterproofing materials, adhesives, and other petrochemical-based materials are being affected.
One important keyword behind this situation is naphtha.
Naphtha is a petroleum product made by refining crude oil. It is used as a key raw material for producing basic petrochemicals such as ethylene, propylene, butadiene, benzene, toluene, and xylene. These materials are then used to make plastics, synthetic rubber, synthetic fibers, detergents, solvents, resins, and paints.
In simple terms, the supply chain can be understood as:
Crude oil → Naphtha → Basic petrochemicals → Resins, solvents, and additives → Paints, thinners, sealants, and related materials
This means that when naphtha becomes difficult to obtain or its price rises, the impact can spread to many materials used in painting and exterior renovation work.
Currently, the painting industry is especially concerned about shortages of thinners, rust-preventive paints, solvent-based materials, and high-performance sealants. These materials are essential not only for finishing surfaces, but also for protecting buildings from rust, water intrusion, and long-term deterioration.
For example, rust-preventive paint is necessary for steel structures, stairs, railings, shutters, roof parts, and other metal components. If rust-preventive coatings or thinners are unavailable, important preparation and protection work may be delayed.
Sealants and caulking materials are also critical. They fill joints and gaps around exterior walls and windows, helping prevent rainwater from entering the building. If high-durability sealants are in short supply, some painting companies may have projects ready to begin but still be unable to move forward.
The current supply concerns are also connected to global conditions, including instability in the Middle East, logistics issues, and the structure of the petrochemical supply chain. This is not about blaming any one country or company. The important point is that international events can directly affect Japanese painting sites, construction schedules, and customer plans.
Going forward, the issue is not only whether materials can be secured, but also whether prices can be maintained, whether construction schedules can be protected, and whether alternative materials can still deliver the required performance.
This situation reminds us that paints, thinners, sealants, and other materials are not always available as a matter of course. They are made through a long process involving crude oil, naphtha, petrochemicals, resins, solvents, pigments, additives, manufacturing, and transportation.
That is why the painting industry must shift from simply “using materials” to using limited resources more carefully.
For KF World Cera certified contractors, this is an important opportunity to rethink the value of exterior painting. The purpose is not simply to use a high-grade coating, but to protect buildings for a longer period, extend repainting cycles, reduce future material consumption, reduce transportation and construction energy, reduce waste paint and waste materials, and contribute to lower CO₂ emissions.
In an era of naphtha shortages and rising material costs, exterior painting should no longer be judged only by price. The real value lies in how long a coating can protect a building, how much it can reduce repainting frequency, how carefully it can use resources, and how clearly that value can be explained with evidence.
KF World Cera certified contractors will continue to respond to these changing times by offering long-life coating solutions and evidence-based proposals that protect customers’ buildings and contribute to a more sustainable future.




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